7-2.指針(ガイドライン)で定める適正な手続の概要:③意見の聴取
③意見の聴取の具体例
1 意見の聴取の対象者(指針案第二 四 1)
意見の聴取の対象である従業者等とは、基準が適用される従業者等である。
2 意見の聴取の方法(指針案第二 四 2)
意見の聴取の方法については、特定の方法をとらなければならないという制約はない。
意見の聴取の時機については、あらかじめ従業者等から意見を聴取した上で相当の利益の内容を決定するという場合であっても、
使用者等において一旦基準に基づき決定した相当の利益を従業者等に与えた後に、当該従業者等に相当の利益の内容の決定に
ついて意見を求め、又は意見表明の方法を伝えて、意見が表明されればそれを聴取するという場合であっても、意見の聴取が
なされたと評価される。
同一の使用者等に係る複数の従業者等が共同発明をした場合における意見の聴取の状況は、当該共同発明をした従業者等(以下(中略)
「共同発明者」という。)ごとに不合理性の判断がなされる。
意見の聴取の方法としては、共同発明者にそれぞれ意見を聴取する方法のみならず、共同発明者からまとめて意見を聴取する方法
や、共同発明者の代表者を通じて意見を聴取する方法も含まれる。
ただし、各共同発明者から意見を聴取することなく、代表者を通じて意見を聴取する場合には、代表者が各共同発明者を正当に代表
しているとき又は各共同発明者に代表者を通じないで意見を表明する機会が担保されているときは、意見の聴取がなされたと評価
される。
3 意見の聴取の程度(指針案第二 四 3)
意見の聴取については、従業者等からの意見に対して使用者等は真摯に対応する必要がある。
(例) 従業者等から使用者等に対して提出された意見に対して使用者等が回答を全く行っていない場合には、不合理性の判断に係る
意見の聴取の状況としては、不合理性を肯定する方向に働くものと考えられる。
意見の聴取は、その結果として相当の利益の内容の決定について使用者等と従業者等との間で個別の合意がなされることまでを
求めているものではない。
このため、合意に至らなかったとしても、そのことだけをもって、直ちに不合理性の判断に係る意見の聴取の状況について不合理性を
肯定する方向に働くことはない。
従業者等から聴取した意見については、使用者等において真摯に検討し、必要に応じて再度相当の利益の内容を決定し直すことが
望ましい。
また、意見の聴取の方法の一つとして、使用者等と従業者等との間で相当の利益の内容の決定について見解の相違が生じた場合に
備えて、相当の利益の内容の決定について社内の異議申立制度を整備することが考えられる。
なお、相当の利益の付与に関する通知を従業者等に送付する際に異議申立窓口の連絡先も併せて通知する等、従業者等に周知
徹底することは、社内の異議申立制度が有効に機能することを担保することとなり、不合理性の判断に係る意見の聴取の状況として
は、不合理性をより強く否定する方向に働くものと考えられる。
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