暖房器具の他、キャンプや登山などのアウトドアに用いる可搬型の調理用コンロもストーブと呼ばれる。
アメリカなどでは、一般に調理器具及び暖房器具の両者を指す。イギリスでも、薪や石炭など燃料を燃やし調理と室内の暖房を兼用したものあるいは暖房専用のものはストーブ(stove)と呼ぶが、調理専用の発熱装置のはクッカー(英: cooker)と呼び分ける。また燃焼器を持つ調理器具全般(クックトップ、ホブ、オーブンなどと呼ばれる)をストーブと呼ぶ場合もあり、フランス料理界ではコンロの前でスープなどを調理する役割を「ストーブ前」と呼ぶことがある。
日本では、一般に「ストーブ」という語から暖房用の熱器具を想像するが、日本では調理にかまど、暖房に囲炉裏や火鉢と使い分けられていたことで、明治時代に日本国外からストーブが輸入された後も、調理はかまどが使われることが多かったことと、日本のガス器具メーカが調理器具の商品名に薪や石炭を連想させるストーブの呼び名を使わなかったため、と言われている。暖房用ストーブが一般家庭に普及する以前、一部の洋風建築では調理用として輸入された石炭レンジが使われており、日本国外の製品名のままストーブと呼ばれているものも存在した。
「暖房器具」と言っても、その歴史をふまえると、実際は上に鍋などを置いて調理に使えるように設計されていたので(たとえば煮込み料理や目玉焼きなどができるようになっていたので)長い間実質的に「暖房用兼調理用」であった。石油ストーブでも上部に鍋を置いて調理ができるようになっているものは多い。だがガスストーブや電気ストーブになって「暖房専用」のものが増えた。
ストーブに使用する燃料は多種多様である。おおむね歴史を踏まえた順で、燃料の推移もおおむね感じられるように列挙する。(なお近年の関東・関西や瀬戸内海沿岸、四国など比較的温暖な都会の家庭にある「ストーブ」は、このリストの末尾の電気式ストーブが圧倒的に多く、それ以外は少ない(しかも暖房が必要な日が比較的少なく、ストーブを全然所有していない家庭すらも増えており、短期間だけ電気式のエアコンやホットカーペットを使う程度で済ませてしまう家庭も増えている)。だが北海道などの寒冷地、また山間地など、寒さが厳しく冬季を通して(それどころか秋・冬・春と)暖房を使い続ける地域では状況が全然異なり、1シーズンを通してのランニングコスト(燃料代)の問題が家計にかなり重くのしかかるので、ストーブの燃料(暖房方式)の選択は全く異なる。詳細は下のリスト内で説明。)
- 薪
薪ストーブ。暖房用でもあり、調理用でもある。上面に鍋などを置いて調理もできる。
- 薪や枝などの木材や廃材を用いる。アメリカで薪を燃料とする暖房装置は「ストーブ」と「暖炉」が同程度である。燃料となる薪の入手が容易なアメリカの郊外地域では、薪を使用する暖房器具が多いが、排煙の問題で都会での普及は少なかった。2004年以降にヨーロッパの排ガス規制をクリアするクリーンバーン方式(CB)を採用した高機能な製品が北欧や米国から輸入され、現在は日本国内メーカーもクリーンバーン方式の製品を製造販売している。日本は薪の入手や保管が容易な山間部や北海道などで多用されてきたが、クリーンバーン方式の普及や煙突の高性能化や石油価格高騰などの要因により、都市部でも設置が散見される。
- 石炭
- 石炭は薪よりも高火力を得られるが、煤煙や硫黄酸化物が環境汚染の原因となり、欧米では多くの都市部で利用が禁止されている。1970年代まで日本各地の学校や北海道など厳冬地で多用され、材質は高熱に堪えうる鋳鉄製である。列車の暖房用としても普及し、以前の国鉄で機関車からの暖房用蒸気が届かない車掌車や混合列車の客車でダルマストーブが使われ、石炭の補給や灰落としは車掌が行なった。国鉄で使用廃止後も青森県北部を走る津軽鉄道は冬季にストーブ列車を運行している。
- コークス
屋外用の、コークスを燃料としたストーブ。(ヨーロッパ北寄りの、寒いポーランドなど。屋外で活動する警官や作業員などが暖をとるのに使う。)
- コークスは石炭を蒸し焼きにしたもので、タールの含有比率が低いために煙やすすの発生が少なく、石炭を凌ぐほどに火力は強く、火持ちが良く、灰(アク)が少ないなど多くの長所があるが、着火性が非常に悪い。欧米では石炭同様に地域により家庭の使用が禁止されている。学校や職場な