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パウリの排他原理 - Wikipedia

パウリ排他原理

2以上フェルミ粒子同一量子状態占めることできないという原理

パウリ排他原理パウリはいげんり: Pauli exclusion principle2以上フェルミ粒子同一量子状態占めることできないという原理ある[1]1925ヴォルフガング・パウリによって提唱[2]パウリ定理パウリ排他パウリ禁制パウリ禁則など呼ばれる

量子力学
確定原理
序論英語 · 数学定式

パウリ排他原理フェルミ粒子について成り立つ法則ありボース粒子について成り立たないボース粒子複数粒子同一量子状態占めることありうる

スピン発見命名編集

ナトリウムD実験において磁場ない場合単一波長観察れるはずあっ予想反しD2分裂すること発見それ受け1924ヴォルフガング・パウリ電子2量子自由持つ可能について言及

1925ウーレンベックゴーズミットこの電子自由由来について電子自転いるという仮説たて[3][4]ためこの自由スピン呼ばれるようなっしかし電子自身スピン相当する運動自転によって得るため光速超える速度自転なけれなら相対反するそのためパウリによってこの仮説否定スピンという名称残さ

スピン座標編集

これまで電子状態表す波動関数空間座標のみ関数考え

あるいは

表記

しかし電子スピンという新た自由あること分かっためこれ新た座標として加える必要ある

磁場において軌道運動: 方位量子分裂すること分かっいるこのことから対応数値するスピン運動分裂いる考える妥当ある

エネルギー2分裂いることから原子電子スピン対応 2 あること分かる よって

あり

なる

また軌道運動場合磁気量子取り得る範囲ある対応数値あることからスピン磁気量子とるとして

考える妥当なる

以上ことからスピン座標表す波動関数

書けることなるただしまたはとる

フェルミ粒子ボース粒子編集

同じ種類粒子全く同じ質量電荷スピン持つため同じ種類粒子互いに区別すること出来ない

2同種粒子として電子考え2電子電子1電子2呼ぶその波動関数位置座標スピン座標用い

表される

ここ電子1電子2位置座標スピン座標入れ替える

なる

ところが2電子区別できないため上記2波動関数同一状態表す波動関数ある

したがって定数

書ける

さらに2電子変数もう一度入れ替える

という関係導かという条件られる

この同種粒子入れ替えによる対称反対称意味する

粒子具体として

  • 場合電子陽子中性子
  • 場合光子

挙げられる

スピンよう整数同種粒子波動関数変数入れ替え反対称ありこのよう粒子フェルミ粒子フェルミオン呼ぶ

対しスピンよう整数同種粒子波動関数変数入れ替え対称ありこのよう粒子ボース粒子ボソン呼ぶ

電子原子編集

ハートリー近似編集

原子番号原子について考える簡単ため位置座標スピン座標用い表す波動関数

書ける

ここ原子電子互いに独立運動する考えること出来るため電子波動関数

以下よう表される規格1電子波動関数

または

表す近似

導入するこれハートリー近似言う ただしアップスピンダウンスピン量子意味する

2電子原子編集

簡単ためまず2電子原子考えるハートリー近似もと波動関数考える以下よう書ける

考えいる電子あるから座標入れ替えによる反対称符号反転満足なけれならないしかしこの波動関数反対称満足ないため書き換える必要ある

上記波動関数座標入れ替える

なる

この考慮入れ反対称規格する以下波動関数られる

こここの波動関数行列表現すること考える

なる

行列性質から

  • 座標 交換する交換行列符号変わる 反対称満足いる
  • 量子 一致する2一致するため行列0なる 波動関数存在ない

ということ言える

N電子原子編集

2電子原子波動関数行列表す考え方拡張する原子番号原子波動関数行列以下なる

これスレイター行列呼ぶ

また以上よう波動関数行列用い近似する方法ハートリー・フォック近似言う

スレイター行列による証明編集

スレイター行列行列性質から

  • 2入れ替え電子座標入れ替え行列1なる反対称満足いる
  • 量子一致ある2同一なる行列0なる波動関数存在ない

ということ言える

この行列性質から総じて言えること

2以上電子(フェルミ粒子)同一量子状態 占めることできない

ということある

以上からハートリーフォック近似によるスレイター行列によりパウリ排他原理自動的満たさいること分かる

脚注編集

  1. ^ 2, ブリタニカ国際百科事典 項目事典,デジタル大辞泉,百科事典マイペディア,法則辞典,世界百科事典 ,大辞林 ,日本百科全書(ニッポニカ),精選 日本国語辞典,化学辞典. パウリ原理 (日本語). コトバンク. 20201015閲覧
  2. ^ W. Pauli,Über den Zusammenhang des Abschlusses der Elektronengruppen im Atom mit der Komplexstruktur der Spektren, Z. Physik, 31, p.765 (1925) doi:10.1007/BF02980631
  3. ^ G.E. Uhlenbeck, S. Goudsmit (1925). Ersetzung der Hypothese vom unmechanischen Zwang durch eine Forderung bezüglich des inneren Verhaltens jedes einzelnen Elektrons. Naturwissenschaften 13 (47): 953-954. doi:10.1007/BF01558878. 
  4. ^ G.E. Uhlenbeck, S. Goudsmit (1926). Spinning Electrons and the Structure of Spectra. Nature 117: 264-265. doi:10.1038/117264a0. 

参考文献編集

  • 朝永振一郎 スピンはめぐる新版 みすず書房2008年7月30日ISBN 978-4-622-07369-7 
  • 康夫 量子力学 岩波書店岩波基礎物理シリーズ 52009115ISBN 978-4000079259 
  • 小出昭一郎 量子力学 (I)改訂 基礎物理選書 5A2012220ISBN 978-4785321321 
  • 村上雅人 なるほど量子力学 (III) 海鳴社20082ISBN 978-4875252498 
  • 河原林 量子力学 岩波書店現代物理叢書2001215ISBN 978-4000067539 
  • 中嶋貞雄 量子力学 II 岩波書店物理入門コース 620091015ISBN 978-4000076463 

関連項目編集

外部リンク編集

  • Wolfgang Pauli,“Exclusion Principle and Quantum Mechanics , Nobel Lecture, December 13, 1946; パウリノーベル物理学賞受賞講演パウリ排他発見する至る経緯記さいる