教科書、論文が難しい理由

By polymonyrks, 15 7月, 2022

教科書、論文の文章は、難しい、長いという特徴から、読むのに時間がかかったり疲れてしまったりします。例えば以下の「化学結合」についての説明文です。

化学結合

なぜ難しく感じるのでしょうか?考えてみます。

 

 

 

1.使われる単語が難しい

まず第一に使われる単語が難しいです。上の文章であれば、「化学結合」、「化学物質」、「原子」、「分子」、、、などといった具合です。

これはまだ文章に読み慣れない学生だけでなく、専門分野に進んだ人間でも他の専門分野の文章では読み進めるのが難しいはずです。化学系の人はさっきのは簡単だと思うので以下の文章を用意しました。(純粋理性批判)

カント

 

2.同じような単語

次に同じような単語が並んできます。

 

同じような単語が並ぶ理由

ある事物が「分かる」とは、その事物を他と「分ける」ことにあります。簡単な例を考えてみます。

りんご

この2つ、どう言い表しますか?以下の3つのどれが良いでしょうか?

 

・「赤いリンゴ」と「青いリンゴ」

・「赤いアップル」と「青いリンゴ」

・「レッドアップル」と「青いリンゴ」

 

正解は「赤いリンゴ」と「青いリンゴ」が正解です。

(1) リンゴであること(他の果物との違い)

(2) 色(両者の違い)

 

これらを最小限で表現出来てます。2番目、3番目は英語を一度日本語に置き換える必要があります。

事物を言葉で分ける際は上記のように「主要部」(「リンゴ」)に対し「限定句」(「赤い」、「青い」、形容詞)を付け加えるのが普通です。その際、「主要部は同じ単語」である必要があります。

最初の化学の例も「結合」という主要部に対して、「化学」「分子間」「分子内」「金属」「共有」、「イオン」といった「限定句」が付加されることで、似たような概念同士の違いを説明しています。

これらの似た概念を「分けられる」ことが、それらの概念を「分かる」ことに対応しています。「共有結合」の説明をしているのに、それを「イオン結合」と述べるのは「分かっていない」ことになります。共有結合であっても、極性を議論する際は「極性共有結合」と「非極性共有結合」を分けて説明できることが「分かる」という意味です。

 

同じ単語がもたらす混乱、退屈さ

しかし「主要部が同じ単語であること」が混乱、退屈を招きます。以下の文章をご覧ください。「赤いリンゴ」、「青いリンゴ」、どっちがどっちなのか。前から順番に丁寧に読まないと混乱してきます。見分けにくいという意味で視認性が良くないです。

・今日は赤いリンゴを食べた。青いリンゴも一つ収穫されていたがまだ青く食べるには熟していないので赤いリンゴを出荷し、青いリンゴはそのままにしておいた。しかし本当は青いリンゴも出荷するという約束だと赤いノートに書かれていたのを思い出した、赤いリンゴは絶対に出荷してはいけない、という約束だった。私は赤い靴をはいて外に飛び出した。結局、赤いリンゴは取り戻せず青いリンゴも色々あって腐ってしまった。

 

 

視認性の観点では以下の文章の方が読みやすいです。「XXXXX」と「アカサタナ」がどこにあるかが一目瞭然です。しかし、「XXXXX」が赤いリンゴ、「アカサタナ」が青いリンゴ、という置き換えをかけないと意味が正確に伝わりません。

・今日は「XXXXX」を食べた。「アカサタナ」も一つ収穫されていたがまだ青く食べるには熟していないので「XXXXX」を出荷し、「アカサタナ」はそのままにしておいた。しかし本当は「アカサタナ」も出荷するという約束だと赤いノートに書かれていたのを思い出した、「XXXXX」は絶対に出荷してはいけない、という約束だった。私は赤い靴をはいて外に飛び出した。結局、「XXXXX」は取り戻せず「アカサタナ」も色々あって腐ってしまった。

 

 

 

以上のように、「意味を正確に表すこと」と「視認性を良くすること」は互いに逆方向を向いていると分かりました。

教科書、論文では正確さを重視しますので、言い換えをして読者に退屈させないといった気の利かせ方はされません。極力読みたくない、となります。

 

着色による視認性確保

同じような単語を逆に利用する(リンゴの例)

同じような単語の連続は退屈をもたらします。しかし、それらを色分けすると見え方が全然違ってきます。

・今日は赤いリンゴを食べた。青いリンゴも一つ収穫されていたがまだ青く食べるには熟していないので赤いリンゴを出荷し、青いリンゴはそのままにしておいた。しかし本当は青いリンゴも出荷するという約束だと赤いノートに書かれていたのを思い出した、赤いリンゴは絶対に出荷してはいけない、という約束だった。私は赤い靴をはいて外に飛び出した。結局、赤いリンゴは取り戻せず青いリンゴも色々あって腐ってしまった。

リンゴリンゴリンゴリンゴリンゴノートリンゴリンゴリンゴ

 

色分けすることで、以下の2つが視認性良く確認できます。

・リンゴとリンゴ以外(色に関しての記述はリンゴ以外にもなされている。それとの区別)

・赤いリンゴと青いリンゴはどちらがどちらか

 

 

同じような単語を逆に利用する(難しい文章)

最初の「化学結合」の文章も、リンゴの例と同様に色分けすると読みやすくなります。

 

主要部へのマーキング

タイトルが「化学結合」なのでその主要部「結合」にマーカーを引いてみます。読み方として「結合」と「結合以外」で分けて眺めてみてください。

化学結合1

 

限定句へのマーキング

主要部が分かると、次は限定句が気になりますが主要部の前後にあるので容易に分かるはずです。次々にマーキングしていきます。

Video file

 

 

完成図

以下のとおりです。「〇〇結合」という「複数色で構成されるパターン」と「それ以外の地の文(白黒)」を注意深く区別してください。正直に言うと、複数種のマーカーで構成される単語を見分けるのは少し訓練が必要かもしれません。が、ここではうまく区別できていることを確認してもらえればと思います。

完成

 

まとめ

以上のように、正確さが重要視される文章は、その(1)単語自体の難しさと、(2)同じ単語が何度も出てくること、が原因で難しくなります。単語自体の難しさは正攻法(それ系の文章を複数、詳しく読んでいき経験値を貯める)が必要です。しかし同じ単語の連続は、色分けすることで「視認性を確保」しつつ「意味の正確性」が損なわれないことがわかりました。

 

しかし、これを手でやるとなると大変です。

 

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当関数型玩具製作所は「タップハイライト拡張」というアプリを用意しています。ハイライトとはマーキングのことを指します。上の動画も「タップハイライト」を用いて作成されています。気になる方は是非見てみてください。

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おまけ

タップハイライトにより同じ単語を同じ色にすることで、上でご紹介しなかった効能が得られたりします。

知りたい人は「同じ単語を同じ色にすることの効用」を参照ください

 

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