いて,要旨,次のとおり判断し,第1審判決は本件規定の解釈を誤って事実を誤認
したものであるとして,第1審判決を破棄し,被告人を罰金10万円に処した。
反意図性は,当該プログラムの機能について一般に認識すべきと考えられる
ところを基準とした上で,一般の使用者の意思に反しないものと評価できるかとい
う観点から規範的に判断すべきであり,一般の使用者が事前に機能を認識した上で
実行することが予定されていないプログラムについては,その機能の内容そのもの
を踏まえ,一般の使用者が機能を認識しないまま当該プログラムを使用することを
許容していないと規範的に評価できる場合に反意図性を肯定すべきである。
本件プログラムコードは,X閲覧者の電子計算機にマイニングを行わせるという
機能を有するものであり,閲覧することによりマイニングが行われることの表示は
予定されておらず,マイニングにより生じた報酬を閲覧者が得ることは予定されて
いない。一般に,閲覧者は,閲覧に必要なプログラムを実行することは承認してい
ると考えられるが,本件プログラムコードによるマイニングは閲覧に必要ではな
い。その上,本件プログラムコードによるマイニングは閲覧者の電子計算機に一定
の負荷を与えるものであるのに,閲覧者には利益がもたらされないし,閲覧者にマ
イニングによって電子計算機が使用されていることを知る機会やマイニングを拒絶
する機会も保障されていない。
このような本件プログラムコードは,使用者に利益をもたらさない上,使用者に
無断で電子計算機を使用して利益を得ようとするものであり,一般の使用者が許容
しないことは明らかであるから,反意図性を認めた第1審判決の結論は正当である。
不正性は,反意図性のあるプログラムであっても,使用者として想定される
者における当該プログラムを使用すること自体に関する利害得失や,使用者に生じ
得る不利益に対する注意喚起の有無などを考慮した場合,プログラムに対する信頼
保護や電子計算機による適正な情報処理という観点からみて,社会的に許容される
ことがあるので,そのような場合を規制の対象から除外する趣旨の要件である。
本件プログラムコードは,閲覧者に利益を生じさせない一方で一定の不利益を与