- 自然法則の利用
- 「自然法則」とは自然界において経験的に見出される法則をいう。たとえば、経済法則、商売の方法、ゲームのルール、占いの方法といったものについては、自然法則を利用しておらず、人為的な取り決めによって定められたものであるから、発明にはならない。ただし、いわゆるビジネス方法関連発明といわれる発明については、ハードウェア資源と協働したソフトウェアの処理方法が明示され、技術的な構成が記載されている場合に限って、保護の対象となる。
- 自然法則の利用については、「特許・実用新案審査基準第III部 第1章 発明該当性及び産業上の利用可能性」に、詳しく解説がなされている。
- 技術的思想
- 「技術は一定の目的を達成するための具体的手段であって実際に利用できるもので、技能とは異なって他人に伝達できる客観性を持つものである」(最高裁判所昭和52年10月13日第1小法廷判決・判例タイムズ335号265頁)
- 創作
- 「発明」は創作であるので、例えば新種の鉱物や生物を発見しても、その発見に対し特許を取得することはできない。ただし、鉱物や生物を精製して取り出される物質は特許されうる。また、既知の物質であっても、新規な性質を発見しこの性質をもっぱら利用するようなものは「用途発明」として認められる。例えば、すでに知られているDDT自身に対してもう特許は取れないが、(それまでに使用用途として発見されていなければ)「DDTを用いた殺虫方法」に対して特許を取る事は可能である。「発明」と「発見」の境界は、突き詰めて考えると曖昧であると指摘する研究者もいる。
- 高度のもの
- 「高度のもの」という部分は、実用新案法における「考案」の定義と区別するためのもので、実質的な意味はないと解される。
- 高度性と進歩性とを結びつけて考える説もあるが、どちらの立場をとっても実務上の影響はない。
特許法上、3つのカテゴリがあり、カテゴリ不明確は拒絶理由にもなる。
・物の発明(プログラム等を含む)
・方法の発明(単純方法)
・物を生産する方法
特許を受けるためには、特許庁の審査において、特許査定(特許法51条)を得なければならない。審査を受けるには出願審査の請求(特許法48条の3)という手続が必要であり、特許出願後3年以内に出願審査を請求しないと出願を取り下げたものとみなされる。なお、出願審査の請求期間は、2001年9月30日以前の出願については、出願日から7年以内であった。また、特許出願後、1年6ヶ月が経過すると、その出願内容を公開することになっている(特許法64条)。ただし、防衛目的のためにする特許権及び技術上の知識の交流を容易にするための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定による例外がある。特許の有効期間は、特許査定後、特許として設定登録(特許法66条)されたときに始まり、原則として出願日から20年後に終わる(農薬取締法または医薬品医療機器等法に規定される特定の行政処分を受けた場合、最長5年間延長可能(特許法67条の2、特許法施行令2条))。
特許発明(特許法2条2項)として、登録されるためには、以下の登録要件を満たすことが必要である。
- 特許法上の発明であること(特許法2条1項。ただし、適用条文としては特許法29条1項柱書。)
- 産業上利用可能性があること(特許法29条1項柱書)
- 新規性を有すること(特許法29条1項)
- 進歩性を有すること(特許法29条2項)
- 先願に係る発明と同一でないこと(特許法39条)
等である。
その他に、公序良俗に反する発明(特許法32条)等は、特許を受けることができない。
特許権の付与を請求するためには、意思表示たる特許出願(特許法36条)という要式行為をする必要がある。特許を受けようとする者は次の事項を特許庁に提出する必要がある[1]。
特許請求の範囲編集
特許請求の範囲とは、発明の概念を文章化したものであり、この特許請求の範囲に記載された文章によって画定される技術的範囲の権利が、当該発明が特許要件を満たしている場合に出願人に付与される。特許請求の範囲には発明の単一性を満たす限度で複数の発明を記載することができるが、その場合、各々の発明をそれぞれ一つの「請求項」に区分して記載する。
なお、実務上、個々の「請求項」のことを「クレーム」(claim) ということがあり、さらには特許請求の範囲全体を指して「クレーム」(この場合正しくはclaimsであるが)ということもある。この呼び方は、特許請求の範囲の記載をWhat is claimed is:で始めていた米国の伝統的な特許実務に由来する。
出願された発明が特許されるためには、前掲の登録要件を満たさねばならない。これを判断する作業が「審査」である。特許出願が方式的な要件を満たしているかを審査する方式審査が特許庁