第4章 あとがき
本書を手にとってくださりありがとうございました。満足してくださったか心配ですが現時点でタップハイライトについて知ってほしいことは全て書き記したつもりです。
個人的な話ですが、電子文書に色をつけることで視認性を向上させる開発をここ3,4年続けています。その中で難しい文書ほど有効なのは経験則で知っていましたが、本書のようにスッキリ理解できました。恐らくこういうことなのだと思います。
本書では述べませんでしたが、タップハイライトは日本語以外のほぼすべての言語に対応しています。全て確認したわけではないので「ほぼ」と書いていますが、おそらく全てじゃないかなって見ています。なので本文中でも書きましたが、外国語の勉強にも広く役立つと期待しています。そして各言語(英語や日本語等)とタップハイライトの相性、確実にあると思います。ポイントはデリミタ(スペース)の存在(タップ回数に関わる)と単位面積あたりの情報集約度(表意文字の使用)です。例えば英語であれば前者(タップ回数は1回で固定、かなりテンポが良い)、日本語は後者の特徴(視野あたりの色の付く単語が多い)を持っています。情報集約度が悪いのをハイライトで補うとか、もともと情報集約度が良いのを更に活かすか、などの違いがあります。今後の実験が楽しみではあります。
日本語が前者(デリミタ)を手に入れたら、、など、面白いかもですね。形態素解析である程度可能ですが漢字一文字あたりの情報量で区別したい文脈もあります。一意に定まらない、これは読書のテンポを損なう要因になります(うまくいかないときにストレスが発生する)。現状のPPLは潔くユーザが2点を指定して、というのを採用しています。漢字とひらがなに対してです。例えば数学では「積」、「余積」、英語で言うと「product」、「coproduct」という概念がありますが、日本語では漢字単位でやるので両者を関連付けられます、つまり「積」を同じ色に出来るので両者が何らかの関連があると捉えられます。一方で英語は両者が同じ色の要素を持つ余地がないです。接頭語、接尾語まで見れば良いかもですが、単語単位でやっているよりも処理が複雑になりそうです、日本語で形態素解析を行うのに近いものが発生しますし速度面が懸念されます。カタカナなどは一体として捉えるのが「ほぼ」正しいので1タップにしています。
日本語でオール1タップの技術はPPLと別に開発が進んでいます。前著までを読まれた方は既に何度か見ているあれです。形態素解析や構文解析(句構造解析)、単語あたりの意味支配限界の確定(視認性の観点も入る)、などが必須になってきます。完全一致でやっているPPLよりもかなり高度な技術です。技術者としてPPLレベルで終わっているのが恥ずかしい、という観点で高度路線を追っていたのが前回まででした。現状ではPPLが最適解と見ています。先述の形態素解析以下の技術が不十分だからです。よほどの精緻化が必要と分かってきました。ノイズが少しでも交じると逆効果です。多くの専門家が関わって実現すべき技術かもしれませんが、PPLが普及しないことには話に乗ってもらえなさそうなのでひっそりと一人でやっています。それなりのものは出来上がっています。前著の時点とは大きく違うやり方が発見されています。PPLとの併用も可能ですし、併用すると化けます。
4.1 連絡先
- ホームページ(https://functoy.com)
質問やフィードバックもらえると嬉しいです。
4.2 今後の展開
PPLの開発は基本的な部分は終了したと見ていますが以下の残件が残っています。
- 前処理時のレイアウト崩れ問題
- より良い書式変更の模索(文字自体の着色、背景着色、ボールド、アンダーライン、その他の書式変更)
上でも述べましたがPPLとは別路線、「自然な単位」路線も開発を継続しています。本書で示したお堅い系の文書では概ね満足する出来になってきているので、どこかのタイミングでリリース予定です。が、まずはPPLの普及です。色を付けながら読むという行為は抵抗があるからかまだまだ受け入れられていない感があるからです。上記読書会などで使い方をご紹介しながら、フィードバックを得て良いものをつくっていきたいです。
Safari以外のブラウザ向けにもPPLをリリースしたいです。特にEdgeはビジネスの局面ではよく利用されている(Windows機、システム部サポートの面で)はずなので、です。しかしGoogle社、Microsoft社ともにブラウザ拡張を収益化する術を用意してくれていません(Apple社には本当に感謝しています)。上記事情が両ブラウザへの導入困難な原因になっています。
タップハイライトに興味がある方は是非連絡ください。例えば文書を読ませるサービスに対しタップハイライトは対応可能です。他にも教育の研究をされている方も。タップハイライトが教育に与える影響は未知数なので研究テーマとしてネタにできるかとも勝手に考えています。その他の方もお気軽にご連絡ください。
4.3 謝辞
本書執筆および技術開発のために生活を支えてくれている家族に感謝です。また、PPLを購入された方々から色々フィードバックを頂いています。おかげさまで良いものが出来上がりました。ありがとうございました。最後に本書および前著を読んでくださった皆様など、活動に興味を持ってくださっている方々に感謝です。興味がある人がいてくれている、というのはかなりのモチベーションになっています。ありがとうございました。